クイズをきっかけに読むWikipedia
— 「知の寄り道」のすすめ

WikiLinkGame を作るときに決めていたことがひとつあります。それは、クイズの正解・不正解で終わらせないことです。回答した後は、4つの選択肢のどれをクリックしても、その記事の Wikipedia ページが新しいタブで開きます。地味な機能ですが、実はこのゲームでいちばん大事にしている部分です。

調べ物のついでに遠くまで行ってしまう

Wikipedia を開いた理由は、ちょっとした調べ物だったはずなのに、本文中の青いリンクをひとつ、またひとつとクリックするうちに、気づけば30分。最初に調べていたことと全然関係のない記事を夢中で読んでいた——多くの人に覚えがある経験だと思います。行き先を決めない読書、言ってみれば「知の寄り道」です。目的の情報に最短でたどり着くことが良しとされる時代に、この寄り道は一見ムダに見えます。でも、自分の興味の外側にある知識に偶然出会えるのは、こういう時間だけです。検索は「知りたいこと」しか教えてくれませんが、寄り道は「知りたいと思ってもいなかったこと」を教えてくれます。

クイズは寄り道の「入り口」になる

とはいえ、何もきっかけがないのに Wikipedia を開いて散歩を始める人は多くありません。そこでクイズの出番です。WikiLinkGame の1問には、お題・中継記事・4つの選択肢と、最大6つの記事が登場します。10問遊べば、およそ60の記事タイトルが目の前を通り過ぎていくことになります。その中に、ひとつくらい「なんだこれ?」と思うタイトルがあるはずです。それが入り口です。回答後に選択肢をクリックして、その記事を覗いてみてください。正解かどうかは、もう関係ありません。

「不正解の記事」こそ面白い

おすすめしたいのは、あえて不正解だった選択肢を開いてみることです。不正解の選択肢は「お題から2クリックでは届かない記事」、つまりお題とはリンクの上で離れた場所にある記事です。ふだんの自分の興味からも離れていることが多く、だからこそ新鮮です。正解の経路をたどって「なるほど、ここでつながっていたのか」と確かめるのも面白いですが、不正解の記事に飛んで「こんな世界があったのか」と驚くのは、また別の楽しさです。1日10問の日替わりを解いて、気になった記事を1本だけ読む。それだけで、1年後には365本ぶん、自分の興味の地図が広がっている計算になります。

読んだら、育てる側にも

最後にひとつ。私たちがこうして遊べるのは、Wikipedia の記事を書き、育ててきた大勢のボランティア編集者と、それを支えるウィキメディア財団のおかげです。WikiLinkGame は Wikipedia の公式ダンプデータを使わせてもらって作られています(問題づくりの仕組みはこちら)。寄り道の楽しさに味をしめたら、ウィキメディア財団への寄付を検討したり、記事の誤字をひとつ直してみたりするのも、素敵な恩返しだと思います。知の寄り道を楽しむ人が増えるほど、その道はもっと豊かになっていくはずです。

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